Example 解決事例
トイレットペーパーの紙幅〜つくる人とつかう人の認識あわせも私たちのお仕事です
JIS規格と企業努力
みなさんJIS規格をご存知でしょうか。JISとは 日本産業規格(JIS=Japanese Industrial Standardsの略)で、 日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格です。車や電化製品などから、コンセントまで、様々な産業製品にこの規格が適用されています。
実は毎日使うトイレットペーパーにも紙幅にJIS規格が定められているのです。
トイレットペーパーの紙幅についてはJIS規格で114mm(±2mm)と定められており、この規格を商品選定の基準とされている自治体や公共施設等の管理団体が在ります。
近年この紙幅を、105mm~108mmに変更するメーカーが多く、サイズは様々ですが縮寸が一般的です。これは近年の材料原価高騰に対し、製造メーカーとして必要なサイズをきちんと担保できるサイズに縮尺することで、一般価格への転嫁を最小限に止めようという企業努力という側面が強いと思われます。
特に家庭用の商品に関してこの傾向は顕著です。
しかし官公庁など多くの入札案件に関して、商品仕様にJIS規格である紙幅(114mm±2mm)を指定したままの案件がまだまだ多く残っており、現実的な供給面と価格面で様々な懸念が発生しかねないという実情が想定されているのです。
家庭用トイレットペーパーの現状
メーカーとしてどのような実情があるのか、簡単にご説明します。
製造効率:メーカーによって製造設備(抄紙機)の規模も様々で、JIS規格にとらわれず自社にとって最もロスの少ないサイズでカットする方が効率的ですし、家庭用・業務用が別々のサイズだと変更作業のためラインを停止しなければならず、結果、したくもない値上げをせざる得ない状況になります。
家庭用:メーカーでは、スーパーやドラッグストアで購入されている家庭用トイレットペーパーを先行して紙幅の変更を行ってきました。既に一般消費者には受け入れられていますね。
業務用:一方、業務用に関しても多くの事業所が、JISサイズ準拠トイレットペーパーの供給先細りへの懸念や、コスト面を考えて積極的に紙幅の変更を受け入れはじめています。
物流:細かいことですが、物流コストの面でも影響があります。紙幅を小さくする方が一度に運べる積載数が増え、結果的にコスト改善につながります。トイレットペーパー一巻きでの縮尺は6~8mm程度でも、トラック一杯に積載する物量であったり、倉庫に格納できる物量という点で、この差は小さくありません。
現状を丁寧に説明し、すり合わせ
上記のような実情と既成事実が存在していることから、今後114mm幅のトイレットペーパーは製造しない、あるいは製造はするが限定的である、というメーカーが多くなると予想されます。
当社では各自治体や団体に対し、状況の説明を丁寧に行い、JIS規格にこだわらない商品仕様の変更を受け入れていただく機会が増えています。
現在のトイレットペーパーの価格高騰への対応策ともいえますので、現在の価格や仕様についてお困りことやご相談等ございましたら、お気軽に岡崎までお問い合わせください。